日中刑法総論・各論の先端課題
日中刑事法シンポジウム報告書 16

日中刑法総論・各論の先端課題

甲斐克則 編
定価:3,300円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2018年03月20日
  • 判型:
    A5判
  • ページ数:
    294頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5247-9
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内容紹介

目  次
 はしがき

開会の辞……高橋則夫 1
張 明楷 3
 
第1セッション:因果関係の理論と実務問題研究
 
1 日本における因果関係論の現在……橋爪 隆 7
 
 Ⅰ はじめに (7)
 Ⅱ 判例・学説の展開 (7)
  1 相当因果関係説 (7)
  2 相当因果関係説の危機・危険の現実化説 (10)
 Ⅲ 「危険の現実化」の判断方法 (13)
  1 総 説 (13)
  2 被害者の特殊事情の考慮 (13)
  3 直接的実現類型 (14)
  4 間接的実現類型 (16)
  5 因果関係が否定される事例 (21)
 Ⅳ 今後の展望 (22)
 
2 中国における刑事因果関係論の発展の概観:積極的な制限……梁 雲宝 25
 
 一 欠陥と危機:伝統的因果関係論の曖昧さ (26)
 二 条件説:因果関係を制限するための合理的基底 (33)
  ㈠ 条件説は事実的因果の判断基準である (33)
  ㈡ 合法則的条件説による代替は成功とはいえない (38)
 三 経験と規範:刑事因果関係の制限のレベルアップ (45)
  ㈠ 社会科学レベルでの制限 (45)
  ㈡ 刑事政策レベルにおける第2次的制限 (48)
 四 択一と折衷:中国における刑事因果関係論の方向性 (54)
  ㈠ 2つの途における違いの本質 (54)
  ㈡ 帰属レベルで解釈論的構造を補足するという途 (59)
 五 結 語 (64)
 
第2セッション:正当防衛の理論と実務問題研究
 
3 正当防衛の司法認定――王洪軍事件と于歓事件に関する
比較的考察――……陳 興良 75
 
 一 王洪軍傷害事件の分析 (75)
  ㈠ 判 決 (75)
  ㈡ 事実関係 (78)
  ㈢ 性質の判断について (81)
 二 于歓傷害事件についての分析 (85)
  ㈠ 判决について (85)
  ㈡ 事実概要について (87)
  ㈢ 性質の判断について (94)
 三 正当防衛の司法認定:反省と検討 (104)
  ㈠ 暴力行為だけに防衛ができ、非暴力の侵害に防衛ができない (107)
  ㈡ 暴力侵害が発生する瞬間にしか防衛できない (110)
  ㈢ 両方が殴り合いすれば相互喧嘩となり、防衛行為とはならない (112)
  ㈣ 死傷の結果を生じさせたら、過剰防衛になる (114)
 四 結 語 (115)
 
4 喧嘩と正当防衛――「喧嘩両成敗」の法理を手がかりに――……塩見 淳 119
 
 Ⅰ はじめに (119)
  1 問題の所在 (119)
  2 昭和7(1932)年判決 (120)
 Ⅱ 喧嘩両成敗の法理――法制史家による分析 (121)
  1 伝統的な理解 (121)
  2 新たな視点の導入 (122)
  3 刑法学に与えられる示唆 (123)
 Ⅲ 判例の展開⑴――戦前から戦後にかけて (123)
 Ⅳ 判例の展開⑵――昭和23(1948)年判決、同32(1957)年判決とその後 (124)
  1 昭和23(1948)年判決・昭和32(1957)年判決 (124)
  2 その後の裁判例 (125)
 Ⅴ 判例の展開⑶――昭和52(1977)年決定とその後 (128)
  1 昭和52(1977)年決定 (128)
  2 その後の裁判例 (129)
 Ⅵ 判例の展開⑷――平成20(2008)年決定とその後 (131)
  1 平成20(2008)年決定 (131)
  2 その後の裁判例 (132)
 Ⅶ まとめ (133)
 

第3セッション:性犯罪の理論と実務問題研究
 
5 日本の性犯罪――最近の改正の動き――……佐伯仁志 141
 
 1 はじめに (141)
 2 改正前の性犯罪規定 (142)
  ⑴ 改正前の刑法の規定 (142)
  ⑵ 刑法以外の法律・条例の規定 (143)
  ⑶ 小 活 (145)
 3 性犯罪に関する諸問題 (145)
  ⑴ 保護法益 (145)
  ⑵ 性犯罪における暴行・脅迫の程度 (149)
  ⑶ 夫婦間の強姦 (151)
  ⑷ 強姦罪の主体等の拡大 (152)
  ⑸ 地位・関係性を利用した性的行為に関する規定の創設 (154)
  ⑹ 強姦罪の法定刑 (156)
  ⑺ 親告罪 (156)
  ⑻ 小 活 (156)
 4 刑法改正後の規定 (157)
 
6 性犯罪の問題をめぐる論争……張 明楷 161
 
 一 概 説 (161)
 二 強姦罪 (162)
  ㈠ 概 説 (162)
  ㈡ 強姦罪の主体 (163)
  ㈢ 準強姦罪の故意 (170)
  ㈣ 輪姦の認定 (173)
 三 強制わいせつ・侮辱罪 (177)
  ㈠ わいせつ行為と侮辱行為には同一性があるか (178)
  ㈡ 強制わいせつ、侮辱罪は傾向犯に属するか (182)
 四 多衆集合淫行罪 (185)
 
第4セッション:詐欺罪の理論と実務問題研究
 
7 詐欺罪をめぐる日本の議論の現在――「重要な事項」の
問題を中心に――……杉本一敏 199
 
 Ⅰ 前 提 (199)
  1 日本刑法典における詐欺罪規定 (199)
  2 詐欺罪の成立要件と構造 (200)
 Ⅱ 詐欺罪をめぐる現在の論争 (201)
  1 論争の対象となっている問題点 (201)
  2 学 説 (205)
 Ⅲ 取引における「重要な事項」といえるものの範囲 (207)
  1 判例を手がかりにした分析(その1) (207)
  2 判例を手がかりにした分析(その2) (210)
 Ⅳ まとめ (216)
  1 以上のまとめ (216)
  2 「挙動による欺罔」をめぐる議論 (217)
 
8 詐欺罪における財産損失に関する試論――中国の司法実
務を中心として――……付 立慶 221
 
 一 検討の前提 (221)
 二 (修正された)経済的財産説:「財産」の理解 (223)
  ㈠ 学説状況 (223)
  ㈡ 経済的財産説の理論根拠 (226)
  ㈢ 経済的財産説の具体的展開 (227)
  ㈣ 経済的財産説の欠陥に対する対応 (230)
 三 財産損失の実質的判断:形式的個別財産説の排除 (232)
  ㈠ 財産損失の判断に関する学説 (232)
  ㈡ 財産損失に対する実質的判断 (234)
 四 財産損失に対する実質的判断の具体的内容 (236)
  ㈠ 取引目的の重大な逸脱と財産損失の判断 (236)
  ㈡ 目的の未達成、被害者の特殊な苦境と財産的損害の判断 (239)
  ㈢ 釘棺案:重大な逸脱理論に対する即時的な検証 (243)
  ㈣ 被欺罔者が相当な給付を期待しない場合 (245)
  ㈤ 修正された全体財産説 (248)
 五 財産損失と詐欺額の認定 (250)
  ㈠ 詐欺による所得額と被害者の所損額が不一致の場合 (251)
  ㈡ 「穴埋め」式詐欺と「連続詐欺」の場合 (252)
  ㈢ 「犯罪コストは一律に控除しない」の1つの反例 (255)
 
総 括……甲斐克則… 263
閉会の辞……高橋則夫… 270
梁 根林… 272
訪中雑感…… 275