市場所得と応能負担原則
広島修道大学学術選書73

市場所得と応能負担原則

―応能負担原則の二元的構成―
奥谷 健 著
定価:5,500円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2018年07月27日
  • 判型:
    A5判
  • ページ数:
    320頁
  • ISBN:
    978-4-7923-0634-2
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内容紹介


目次

はしがき i
初出一覧  xi

序 章 1
はじめに 1
第1節 「所得」の多義性 4
第2節 「担税力」の多義性 6
第3節 本書の構成 7


第Ⅰ部 客観的純所得課税の意義


第1章 市場所得税の生成と展開 13
はじめに 13

第1節 市場所得説の生成 17
1 シャンツの純資産増加説 17
2 シャンツの源泉説批判 19
(1) 経済活動説 20
(2) 規則的反復説 21
(3) 継続的源泉説 24
3 ノイマルクの国庫的所得概念 25
4 小 括 29

第2節 市場所得説の展開 32
1 ルッペの所得帰属論 32
2 ラングの理論 34
3 キルヒホフの法曹大会での意見書 37
4 小 括 41

第3節 市場所得説の分析 42
1 法学的所得概念としての解釈根拠 42
2 所得税法上の解釈根拠─「制定法上の構造概念」とは 46
(1) 課税の可能性 46
(2) 実現原則 49
(3) 小 括 49
3 憲法上の解釈根拠─「憲法に導かれる所得税の課税対象」とは 50
(1) 市場所得説の憲法解釈 51
(2) キルヒホフの憲法理論の分析 54
(3) ヴィットマンによる分析 58
(4) 小 括 61
4 その他の問題に関する考察 62
(1) 主観的要件 62
(2) 市場所得節の本質 63
(3) その他の問題 67
(4) 市場所得説の長所と短所 69
5 小 括 71

第4節 総合評価 72
(1)純資産増加説および源泉説の問題点 72
(2) 法学的所得概念としての市場所得説 75
(3) 日本法との関連 77
むすびにかえて 80


第2章 市場所得における控除概念
─基因原則による必要経費─ 82
はじめに 82

第1節 ドイツ法における控除概念 84
1 市場所得説における控除概念と基因原則 85
2 所得税法における控除概念 86
3 判例における控除概念 87
(1) 目的的必要経費概念 88
(2) 原因的事業支出概念 90
(3) 必要経費概念への基因原則の援用 93
4.小 括 110

第2節 日本法における控除概念 111
1 控除概念の類型 111
2 裁判例における控除概念 112
(1) 必要経費 113
(2) 取得費および譲渡費用 116
(3) 「その収入を得るために支出した金額」 119
3 小 括 120

第3節 控除概念と所得概念 121
1 市場所得説と基因原則 121
2 わが国における控除概念と所得概念 123
3 小 括 124

おわりに 125


第3章 必要経費控除の意義と範囲 127
はじめに 127

第1節 必要経費控除の根拠 128
1 ドイツにおける必要経費控除をめぐる議論 130
2 日本における必要経費控除をめぐる議論 132
3 小 括 135

第2節 必要経費の意義 135
1 必要経費における「直接性」 136
2 検 討 141

第3節 必要経費の範囲 144
1 必要経費と家事費・家事関連費との区分 145
2 基因原則における必要経費と家事費・家事関連費 151
3 小 括 158

おわりに 158

第Ⅱ部 主観的純所得課税の意義


第4章 所得税における基礎控除と担税力 163
はじめに 163

第1節 控除金額 165
1 ドイツ連邦憲法裁判所判決における社会保障給付との統一の要請 166
2 日本における課税最低限をめぐる判例 171
3 小 括 174

第2節 控除段階 175
1 ドイツにおける議論 176
2 日本における議論 180
3 小 括 183

第3節 基礎控除と担税力 184
1 基礎控除と主観的担税力 184
2 基礎控除と所得概念 187
おわりに 193


第5章 扶養にかかる人的控除と社会保険料負担
─2005年1月11日連邦憲法裁判所判決の検討─ 196
はじめに 196
第1節 これまでの議論 200
1 配偶者控除を中心とする制度の是非 200
2 基礎的な人的控除の税額控除化 206
3 小 括 209

第2節 
扶養にかかる人的控除に関する
ドイツ連邦憲法裁判所の判決 211
1 事実概要 211
2 憲法裁判所の判断 214
3 小 括 217

第3節 判決の検討 218
1 ドイツにおける評価 218
2 わが国の制度への当てはめ 220
3 小 括 222
おわりに 222


第6章 居宅介護サービスと医療費控除 225
はじめに 225

第1節 具体的事例 227
1 事実概要 227
2 裁 決 228
3 小 括 229

第2節 「医療費」の範囲 230
1 医療費控除の趣旨と「医療費」の意義 230
2 「療養上の世話を受けるために
特に依頼したものから受ける療養上の世話」 235
3 小 括 240

第3節 介護費用と医療費控除 241
1 「介護」に関連する費用と医療費控除 241
2 本件について 243
3 小 括 245
おわりに 247


第Ⅲ部 その他の担税力をめぐる問題


第7章 課税の負担と上限
─ドイツ連邦憲法裁判所2006年18日決定を
手がかりとして─ 251
はじめに 251

第1節 五公五民原則 253
1 2つの違憲決定 253
2 五公五民原則をめぐる議論 258
3 小 括 261

第2節 五公五民原則との訣別─2006年1月18日決定 262
1 事実概要 262
2 判 旨 264
3 小 括 268

第3節 課税の上限 268
1 2006年決定をめぐる議論 269
2 課税の上限  272
3 小 括 277
おわりに 278


第8章 損害賠償金と非課税「所得」 280
はじめに 280

第1節 事実の概要と判決の要旨 281
1 事実の概要 281
2 判 旨 283
3 小 括 284

第2節 所得税法9条1項17号の性格 285
1 立法経緯 286
2 裁判例の考え方 289

第3節 非課税「所得」の意義 290
1 損害賠償金の「所得」該当性 290
2 損害賠償により補てんされる「損害」 291
3 非課税となる損害賠償金の意義・範囲 292



おわりに 294
終 章 295
事項索引 301