民法講義VI 事務管理・不当利得・不法行為 〔第3版〕
近江幸治 著
定価:3,300円(税込)-
在庫:
在庫があります -
発行:
2018年10月01日
-
判型:
A5判 -
ページ数:
302頁 -
ISBN:
978-4-7923-2718-7
書籍購入は弊社「早稲田正門店インターネット書店」サイトでの購入となります。
内容紹介
目次
緒 言
債権各論第2編 法定債権関係
(事務管理・不当利得・不法行為)
序論 法定債権関係の意義
(1) 事務管理 1 (2) 不当利得 2
(3) 不法行為 2
第1章 事務管理
第1節 事務管理制度の意義 3
1 「事務管理」とは何か 3
(1) 「事務」(要務)の管理行為 3
(2) 社会的要請と私的自治の原則―違法性阻却 4
2 事務管理の法的性質 5
(1) 準法律行為(非表現行為) 5 (2) 準契約 6
第2節 事務管理の成立 7
1 事務管理の成立要件 7
(1) 他人の「事務の管理」を始めること(要件Ⅰ) 7
(2) 「他人のために」すること(要件Ⅱ) 8
(3) 「義務なく」管理すること(要件Ⅲ) 9
(4) 「本人の意思に反し,または本人に不利であること」が明らかでないこと
(要件Ⅳ) 11
(5) 管理を「始めた」こと(要件Ⅴ) 12
2 事務管理の追認 12
(1) 事務管理の「追認」とは何か 12 (2) 「処分行為」の追認とは 13
* 解除権の行使と本人の追認
第3節 事務管理の効果 14
1 違法性阻却と債権関係の発生 14
(1) 違法性阻却 14 (2) 管理者の義務 14
(3) 本人の義務の発生 16 * 報酬請求権の問題
2 事務管理と対外的関係 18
(1) 「管理者の名で」管理行為が行われた場合 18
(2) 「本人の名で」管理行為が行われた場合 19
3 準事務管理 20
(1) 「準」事務管理とは何か 20 (2) 学説の対立 21
第2章 不当利得
第1節 不当利得法序説 24
1 「不当利得」制度の意義 24
(1) 「不当な利得」の排除 24
* 「法律上の原因」の欠如 * 不当利得発生の2態様
(2) 「不当な利得」返還の総合的・統一的制度 26
2 不当利得制度の基礎 28
(1) 日本不当利得規定の問題点―改正に至る経緯 28
(2) ドイツにおける「類型論」の発展 29
* 「他人の給付」による不当利得の意義―物権行為の無因性との関係
* 契約の「清算」制度への展開
(3) わが国の学説 31 * 類型論における2つの論理体系の峻別―
「契約」理論と「所有」理論
(4) 「給付不当利得」制度の導入(2017年改正) 37
第2節 不当利得の成立要件 38
≪問題の所在≫ 38
1 「法律上の原因」の欠如 38
* 学説の考え方
2 「利得」―「受益」・「損失」と「因果関係」 40
(1) 「受益」・「損失」 40 (2) 「因果関係」 41
3 「他人の財産または労務」によること 44
第3節 不当利得の効果 45
1 基本原則 45
(1) 不当利得返還の範囲―侵害不当利得と給付不当利得の峻別 45
(2) 不当利得返還請求権の法的性質(1)―物権的請求権との関係 46
(3) 不当利得返還請求権の性質(2)―原契約との関係 47
2 侵害不当利得(他人の財貨からの不当利得) 49
(1) 「侵害不当利得」の意義 49 * 所有権法秩序違反による利得
(2) 原物の返還 50 * 所有物返還請求権と不当利得返還請求権との関係
* 侵害不当利得と「占有の不当利得」 * 不当利得返還請求権の「補助性(補充性)」 * 189条?191条・196条による付随的返還関係
* 利得者の果実取得権と使用利益の返還
(3) 利得の返還 54 * 「現存利益の返還」―「善意」・「悪意」による峻別
* 付随的返還関係と703条以下の規定との関係
(4) 具体的な返還の範囲 56 * 出費の節約 * 取引行為(対価支払い)の介在
3 給付不当利得 59
(1) 「給付不当利得」の意義と制度の法認 59
* 前提的法律関係による返還 * 「占有の不当利得」理論の承認
(2) 契約の解消=給付の全面返還 62 * 無効・取消しの効果
* 給付物の返還(請求権競合に関する学説の対立)
* 前提的法律規範に基づく返還関係
4 三者関係的不当利得(1)―侵害不当利得型 68
(1) 費用の支出など 68 (2) 不存在担保権の実行 68
(3) 騙取金銭による弁済 70 (4) 転用物訴権 72
5 三者関係的不当利得(2)―給付不当利得型 77
(1) 「第三者のためにする契約」(第三者への弁済)型 77
(2) 「第三者による弁済」 79 (3) 債権の準占有者への弁済 81
第4節 特殊な不当利得 82
1 序 説 82
2 非債弁済 82
(1) 狭義の非債弁済 82 * 制限超過利息支払いの扱い
(2) 期限前の弁済 84 (3) 他人の債務の弁済 84
3 不法原因給付 85
(1) 不法原因給付の意義 85 (2) 708条の適用範囲 88
(3) 不法原因給付物の所有権の帰属 89
4 目的不到達による不当利得 91
(1) 目的不到達の不当利得とは何か 91
(2) 目的不到達による不当利得の要件 93
第3章 不法行為
第1節 不法行為の基礎理論 94
1 「不法行為」とは何か 94
(1) 損害の賠償―被害者の救済 94 * 「損害の【填】補」機能
(2) 法定債権の発生 96
2 刑事責任と民事責任の分化 97
(1) 刑事責任と民事責任 97 (2) 刑罰と損害賠償の分化 97
3 過失責任と無過失責任 98
(1) 過失責任主義 98 (2) 無過失責任主義 99 * 無過失責任主義の論拠 * 準無過失責任主義(立証責任の転換)
4 不法行為責任と契約責任 101
(1) 不法行為規範と契約規範 101 * 両規範の原理的差異と競合
(2) 「請求権競合」論 102 * 請求権競合説・法条競合説・規範統合説
5 日本不法行為法の構成―一般的不法行為(原則)と特殊的不法行為 105
6 被害者救済制度の展開 107
(1) 責任保険制度 107 (2) 「補償」制度の導入 108
(3) 被害者総合救済システム 109
第2節 一般的不法行為の成立要件 112
1 自己責任の原則 112
(1) 「自己の行為」についての責任原則 112 (2) 代位責任 112
2 過 失 113
(1) 故意と過失 113 * 故意・過失による実際上の峻別
(2) 「過失」 114 *主観的過失から客観的過失へ * 「抽象的過失」が基準
* 予見可能性と結果回避可能性 * 調査義務 * 軽過失と重過失
3 故 意 126
(1) 「故意」の概念―「認識」と「認容」 126
(2) 「故意」による不法行為 126 * 故意不法行為の意義
4 立証責任 128
(1) 「原告」立証の原則―法律要件分類説 128
(2) 立証責任の転換 128 (3) 過失の推定 129
5 違法性(権利・法的保護利益の侵害) 131
(1) 「権利侵害」要件と「違法性」 131 (2) 学説の展開 132
* 「権利侵害」から「違法性」へ * 「違法性」と「過失」の交錯
(3) 平成16年改正による709条規範の意義 137
(4) 法益保護の諸類型 138 * 人格的利益の保護(生命・身体,名誉,
プライバシー,氏名権・肖像権等の侵害) * 財産的利益の保護
* 生活妨害と「公害」 * 差止請求
(5) 違法性の阻却 152
6 損害の発生と因果関係 156
(1) 損害の発生 156 * 「損害」とは何か * 財産的損害と非財産的損害
(2) 因果関係の存在 158 * 「損害」と「行為」の因果関係
* 因果関係の立証責任
7 責任能力 161
(1) 序 説―責任能力制度の意義 161 (2) 未成年者 162
(3) 責任能力喪失者 164 (4) 監督者の責任 164
(5) 責任能力規定の適用制限 165
第3節 不法行為の効果 167
1 損害賠償の方法 167
(1) 金銭賠償の原則 167 (2) 特定的救済(非金銭的救済) 169
* 原状回復 * 差止請求権の法理(受忍限度の考え方)
2 損害賠償請求の主体 174
(1) 自然人・胎児・法人 174
(2) 間接被害者 175 * 近親者の損害 * 企業の損害
(3) 生命侵害の場合―相続人 181 * 生命侵害に伴う損害の相続とは?
3 損害賠償の範囲と額の算定 188
(1) 損害賠償の範囲 188
* 賠償範囲限定の必要性と問題点 * 賠償範囲の画定基準
(2) 損害賠償額の算定方法 192
[Ⅰ] 個別算定方式 * 積極的損害と逸失利益(消極的損害)
* ホフマン方式とライプニッツ方式 * 外国人の逸失利益
* 慰謝料 * 弁護士費用
[Ⅱ] 一括算定方式 * 損害の定額化
(3) 損害賠償額算定の基準時 199 * 「中間最高価格」の問題
(4) 過失相殺 201 * 「過失の相殺」から「賠償額の調整」制度へ
* 過失相殺の理論 * 賠償額減額の類型(一般交通事故・好意同乗者・素因・被害者「側」の過失) * 過失相殺の方法
(5) 損益相殺 210
4 損害賠償債権の一般性と特殊性 215
(1) 序 説―不法行為に基づく損害賠償債権 215
(2) 相続性・一身専属性 216 (3) 相殺の禁止 217 * 交叉責任と相殺
(4) 消滅時効 218
第4節 特殊の不法行為 221
序説 221
1 責任無能力者の監督者責任 221
(1) 序 説―監督者責任の意義 221
(2) 監督者責任の構造と限界 222
(3) 714条責任と709条責任との交錯 223
2 使用者責任 226
(1) 使用者責任の意義 226 * 使用者責任の法的性質「論」
(2) 使用者責任の要件 227 * 事業執行性の判断基準
(3) 賠償義務者 234 (4) 求 償 235 * 求償権制限の必要性
3 土地工作物責任 237
(1) 土地工作物責任の意義 237
(2) 土地工作物責任の要件 238 * 「設置・保存の瑕疵」
(3) 賠償義務者 240 (4) 求 償 241
4 動物占有者の責任 243
(1) 動物占有者責任の意義 243 (2) 動物占有者責任の要件 243
(3) 賠償義務者 244
5 共同不法行為 245
(1) 序 説―共同不法行為とは何か 245
(2) 「共同不法行為」の再構成 246 * 「関連共同性」をめぐる議論
(3) 「共同不法行為」の効果 252 * 「連帯」責任 * 全額賠償
* 免責・減責の主張 * 過失相殺の主張
(4) 「加害者不明」の場合と「教唆者・幇助者」の責任 254
* 因果関係のみなし規定と推定規定
(5) 競合的不法行為(原因競合) 256
* 共同不法行為との関係 * 免責・減責の主張 * 「過失相殺」の方法
第5節 特別法上の不法行為 260
序説 260
1 国家賠償法 260
(1) 国家賠償制度の意義 260 (2) 「公務員の不法行為」責任 261
(3) 「公の営造物」責任 263 * 「設置または管理の瑕疵」
(4) 賠償責任者 263
2 自動車損害賠償保障法 265
(1) 自動車損害賠償保障制度の意義 265
* 709条の特別法 * 「責任」保険=加害者救済原理
(2) 賠償義務者―運行供用者 267
(3) 自賠法3条不法行為責任の特殊性 269
3 製造物責任法(PL法) 271
(1) 製造物責任制度の意義 271 (2) 製造物責任の要件 271
(3) 免責事由 272 (4) 請求権の行使期間の制限 273
4 失火責任法 274
(1) 失火責任法の意義 274 (2) 「重過失」 274
(3) 他の賠償責任との関係 275 * 債務不履行責任との関係
* 監督義務者との関係 * 使用者責任との関係
* 土地工作物責任との関係
事項索引 277
判例索引 281
条文索引 285