刑事責任能力論

刑事責任能力論

竹川俊也 著
定価:7,700円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2018年11月01日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    318頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5262-2
カートに入れる

書籍購入は弊社「早稲田正門店インターネット書店」サイトでの購入となります。

内容紹介

目 次

はしがき

序 論 問題の所在……………1

第1部 責任能力判断における精神鑑定人の役割
第1章 刑事手続における精神鑑定
 第1節 精神鑑定の採否……………18
 第2節 精神鑑定人の役割論……………20
 第3節 裁判員制度を見据えて生じた変化?……………23

第2章 連邦証拠規則704条(b)項をめぐる議論状況
 第1節 精神医学者による証言の制限と連邦証拠規則704条(b)項の制定……………28
  第1項 いわゆる「究極問題ルール」について (28)
  第2項 ヒンクリー事件後の動向 (29)
  第3項 精神鑑定意見を制限する根拠? (31)
  第4項 連邦証拠規則704条(b)項の制定過程 (33)
 第2節 連邦証拠規則704条(b)項の運用状況……………35
  第1項 United States v. Eff, 524F.3d 712(5th Cir. 2008) (36)
  第2項 United States v. West, 962F.2d 1243(7th Cir. 1992) (39)
  第3項 United States v. Dixon, 185F.3d 393(5th Cir. 1999) (42)
  第4項 検 討 (48)

第3章 線引き問題の検討
 第1節 アメリカにおける精神鑑定人の証言範囲……………51
  第1項 精神鑑定人による証言の制限に対し懐疑的な見解 (51)
  第2項 精神鑑定人による証言の制限に対し肯定的な見解 (52)
 第2節 わが国における精神医学者の証言範囲……………55
  第1項 精神鑑定人による証言の制限に対し懐疑的な見解 (55)
  第2項 線引き問題をめぐる従来の議論 (58)
 第3節 検 討……………61

第4章 証拠法則上の位置づけについての検討
 第1節 アメリカにおける関連性概念と専門家証言に対する規律……………65
  第1項 連邦証拠規則における関連性概念 (65)
  第2項 専門家証言の規律 (67)
  第3項 704条の外在的限界 (67)
 第2節 検討――証拠の関連性概念をめぐって……………69
  第1項 従来の理論構造 (70)
  第2項 証拠の関連性概念に関する近時の議論 (74)
 第3節 関連性概念と精神鑑定……………80

小 括……………83

第2部 弁識・制御能力要件の再構成
第1章 弁識・制御能力の重なり合い問題についての議論状況
 第1節 法曹実務家・精神医学者による問題提起……………87
 第2節 重なり合い問題に対する刑法学説の立場……………89

第2章 アメリカにおける議論状況
 第1節 責任能力論略史……………92
  第1項 ヒンクリー事件までの動向 (92)
  第2項 ヒンクリー事件以降の動向 (99)
 第2節 認知・制御能力要件に関する議論……………107
  第1項 制御能力要件に対する実体論的批判 (107)
  第2項 認知能力に関する議論状況――旧来的枠組みの限界 (109)
  第3項 議論枠組みの変化――「合理性の欠如」という観点から説明を試みる諸説 (116)

第3章 他行為可能性原理の検討
 第1節 (法)哲学分野における議論状況……………126
  第1項 Frankfurtによる問題提起 (126)
  第2項 瀧川裕英による「理由応答性」概念 (128)
  第3項 検 討 (132)
 第2節 刑法学における他行為可能性――両立可能論の系譜を中心に……………134
  第1項 平野龍一説 (135)
  第2項 所一彦説 (136)
  第3項 検 討 (137)

第4章 わが国における弁識・制御能力要件
 第1節 責任能力の体系的地位をめぐる議論……………142
  第1項 責任前提説 (143)
  第2項 責任要素説 (143)
  第3項 検 討 (144)
 第2節 弁識能力要件の検討……………146
  第1項 責任前提説と責任要素説 (146)
  第2項 ドイツにおける議論状況 (149)
  第3項 検討――あるべき弁識能力要件をめぐって (151)

小 括……………158

第3部 「精神の障害」と刑事責任能力
第1章 アメリカにおける議論状況
 第1節 責任能力基準における「精神の障害」要件の位置づけ……………163
 第2節 ダラム・ルール成立の背景……………165
 第3節 ダラム・ルールが内包していた諸問題……………167
  第1項 「所産」の意義について (169)
  第2項 「精神の疾患ないし欠陥」の意義について (171)
  第3項 「精神の障害」と精神鑑定人の役割 (174)
  第4項 Fingaretteによる「精神の障害」概念の再構築 (178)
 第4節 検討――「精神の障害」の多義性と責任能力基準における地位……………181

第2章 「精神の障害」の判断基盤
 第1節 精神医学における疾患概念……………184
  第1項 伝統的精神医学における疾患概念――シュナイダー理論を軸として (185)
  第2項 現代的精神医学における疾患概念――操作的診断に基づく疾患概念を軸として (188)
  第3項 伝統的精神医学と現代的精神医学 (190)
 第2節 「精神の障害」の判断基盤……………194
  第1項 症状論 (194)
  第2項 診断論 (197)
 第3節 検討――責任能力論における「精神の障害」の意味内容……………202
  第1項 症状論と診断論をめぐる議論の到達点 (202)
  第2項 弁識・制御能力と「精神の障害」 (205)

第3章 責任能力論における「精神の障害」の位置づけ
 第1節 責任能力の実体要件として「精神の障害」に独自の意義を認める見解……………208
  第1項 「精神の障害」から責任能力の判断結果を導出する余地を認める立場 (209)
  第2項 「精神の障害」から責任能力の判断結果を導出する余地を認めない立場 (217)
  第3項 検 討 (223)
 第2節 責任能力の実体要件として「精神の障害」に独自の意義を認めない立場……………224
  第1項 安田拓人の見解 (226)
  第2項 検 討 (228)
 第3節 検 討……………230
  第1項 「精神の障害」を実体要件として認めた場合の不整合性について (230)
  第2項 「精神の障害」不要説について (232)

小 括……………235

第4部 責任能力の認定手法について
第1章 問題の所在
 第1節 最高裁判例の立場――裁判例における総合的判断方法……………240
 第2節 分析視角・分析対象について……………241
第2章 総合判断定式における考慮要素の分析
 第1節 犯行当時の病状・精神状態……………247
  第1項 統合失調症 (247)
  第2項 躁うつ病 (248)
  第3項 アルコール関連障害 (249)
  第4項 薬物関連障害 (249)
  第5項 広汎性発達障害 (250)
  第6項 人格障害 (250)
 第2節 幻覚・妄想の有無および犯行との関係……………251
  第1項 犯行と関係のある明確な幻覚・妄想 (252)
  第2項 犯行と直接関係のない幻覚・妄想 (252)
 第3節 動 機……………254
  第1項 動機の形成過程の了解可能性 (254)
  第2項 動機の内容の了解可能性 (255)
 第4節 犯行前の生活状況・犯行前の事情……………257
 第5節 犯行の態様……………258
  第1項 犯行態様の合理性・合目的性 (258)
  第2項 周囲の正確な状況認識の有無 (260)
  第3項 犯行の残虐性 (261)
  第4項 ためらい・躊躇の有無 (262)
  第5項 動機と態様の間の均衡性 (263)
  第6項 まとめ (263)
 第6節 もともとの人格との関係……………264
 第7節 犯行後の行動……………267
  第1項 罪証隠滅・犯行発覚回避行動 (267)
  第2項 自 首 (268)
  第3項 逃 走 (268)
  第4項 自殺未遂・遺書の執筆 (268)
  第5項 犯行の中止 (268)
  第6項 捜査機関への協力 (269)
  第7項 虚偽・不合理弁解 (269)
  第8項 被害者への謝罪 (269)
  第9項 通常の日常生活への復帰 (270)
  第10項 まとめ (270)
 第8節 犯罪性の認識……………271
 第9節 計画性の有無……………272
 第10節 記憶の有無……………273
  第11節 意識障害の有無……………275

第3章 検 討
 第1節 裁判実務における責任能力の認定手法――総合的判断の内実……………276
 第2節 実体要件と認定基準の関係性について――実体要件と矛盾する認定要素?……………279
  第1項 「精神の障害」について (279)
  第2項 弁識能力について (279)
  第3項 制御能力について (280)
  第4項 検討――実体要件と認定基準の齟齬? (281)
 第3節 本書の理論枠組みとの関係性……………282
  第1項 弁識・制御能力について (282)
  第2項 「精神の障害」について (283)
  第3項 本書の理論枠組みと責任能力の認定手法 (283)

結 論
 1 本書の成果……………285
 2 残された課題……………287

参考文献一覧……………289