英国死傷審査とEU法
兼平裕子 著
定価:6,270円(税込)-
在庫:
在庫があります -
発行:
2019年01月20日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
286頁 -
ISBN:
978-4-7923-0637-3
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内容紹介
目 次
はしがき
第一部 英国司法審査とEU法
第1章 EU基本条約50条に基づく離脱通知に対する国会承認の必要性 ─高等法院2016年11月3日判決に示された英国憲法上の国会主権および国王大権─
Ⅰ はじめに(3)
Ⅱ EU基本条約50条に基づく離脱通知に関する訴訟における
主要争点の背景(5)
(1) 国会主権と国王大権─国会か政府か(5)
(2) 加盟国法とEU法の関係─EU法の国内効力とEU司法裁判所(7)
(3) イギリス国民としての地位に基づく司法審査請求─原告適格(10)
Ⅲ 高等法院判決 [2016] EWHC2768 (Admin)─R (Miller) v Secretary of State for Exiting the European Union─ (13)
(1) EU基本条約50条─EUから離脱する権利の行使(13)
(2) 条約の制定・改廃に関する国王大権の行使の範囲(14)
(3) 高等法院判決の結論─1972年欧州共同体法の解釈(17)
Ⅳ 高等法院判決が問いかける法律問題(19)
(1) 国内法および国際法の平面における国会主権と国王大権(19)
(2) EUと加盟国間の権限配分バランス(21)
Ⅴ むすびにかえて(24)
第2章 英国司法審査における環境公益訴訟 ─EU法のヒエラルキーと協力関係の中でのイギリス法─
Ⅰ はじめに(27)
Ⅱ オーフス条約と国内法(28)
(1) オーフス条約─司法へのアクセス権(28)
(2) ドイツおよびフランスにおける団体原告適格(29)
(3) イギリスにおける原告適格と司法へのアクセス権(32)
Ⅲ イギリス法における司法審査請求の拡充とEU司法裁判所(35)
(1) 司法審査請求─市民訴訟をどこまで認めるか(35)
(2) 公益訴訟における原告適格の拡大と限界(38)
(3) 国内裁判所とEU司法裁判所間の役割分担および緊張関係(42)
Ⅳ 環境公益訴訟の実質化(45)
(1) EU大気質指令の国内法化をめぐるイギリス最高裁判決およびEU司法裁判所先決裁定(45)
(2) 司法へのアクセス権─日本への示唆を含めて(50)
(3) 「国会主権原則」と「法の支配」とのジレンマ(52)
(4) EU法における環境公益訴訟─環境と経済の持続可能な発展(53)
Ⅴ むすびにかえて(55)
第3章 EU大気質指令の国内法化をめぐるEU法とイギリス国内法の関係 ─イギリス最高裁における司法積極主義への転換─
Ⅰ はじめに(57)
Ⅱ EU法とイギリス国内法の関係(59)
(1) EU司法裁判所と国内裁判所の関係─先決裁定(59)
(2) EU法の優越性および直接効果の原則 ─国内裁判所とEU司法裁判所間の緊張関係(60)
(3) 国会主権原則と法の支配─EU法による変容(63)
(4) 欧州人権条約と不一致宣言(65)
(5) EU指令に対する直接適用可能性(66)
Ⅲ EU大気質指令の国内法化をめぐる高等法院判決(2011年12月13日)および控訴院判決(2012年5月30日)の検討 ─The QUEEN on the application of ClientEarth v The Secretary of State for the Environment, Food and Rural Affairs─(68)
(1) EU法とイギリス国内法の解釈アプローチ ─目的論的解釈と文理解釈(68)
(2) 2008年EU大気質指令(Directive 2008/50/EC)の国内法化(69)
(3) 2008年指令における「大気質計画」(70)
(4) 高等法院判決(2011年12月13日)─宣言的判決および職務執行命令を求める司法審査請求(71)
(5) 控訴院判決(2012年5月30日)─文理解釈と司法消極主義(73)
Ⅳ イギリス最高裁判決(2013年5月1日)の検討 ─R (on the application of ClientEarth) v The Secretary of State for the Environment, Food and Rural Affairs─(75)
(1) 最高裁判決(2013年5月1日)─予備的結論と先決裁定の付託(75)
(2) 国内裁判所において可能な救済方法(77)
(3) EU司法裁判所への付託(78)
Ⅴ EU司法裁判所先決裁定(2014年11月19日)および差戻後のイギリス最高裁判決(2015年4月29日)─ClientEarth v The Secretary of State for the Environment, Food and Rural Affairs─(79)
(1) EU司法裁判所優先処理手続(2013年11月28日)(79)
(2) EU司法裁判所先決裁定[Case C-404/13](2014年11月19日)(80)
(3) イギリス最高裁差戻後判決における職務執行命令(2015年4月29日)(83)
(4) 国内裁判所およびEU司法裁判所の役割 ─EU法の枠内での司法積極主義と政策的選択(85)
Ⅵ むすびにかえて(87)
第二部 英国、EUおよびわが国における原子力発電
第4章 電力システム改革と原子力廃止措置の事業体 ─英国NDA (原子力廃止措置機関) と日本の電気事業者─
Ⅰ はじめに(91)
Ⅱ 電力システム改革─発送電分離に関する議論(93)
(1) 2005年までの部分自由化の限界(93)
(2) 福島事故後の議論(95)
(3) 発送電分離(アンバンドリング)の法的問題(97)
Ⅲ 原子力廃止措置の問題点(99)
(1) 原子力発電の事業リスク(99)
(2) 核燃料サイクルの破綻(101)
(3) 高レベル放射性廃棄物─地層処分の難しさ(105)
Ⅳ 英国の原子力政策とNDA(原子力廃止措置機関)(107)
(1) 原子力政策とNDA(107)
(2) 原子力廃止措置の事業体(109)
Ⅴ 発送電分離と原子力廃止措置(111)
(1) 原子力フェイズ・アウトの後始末(111)
(2) わが国における原子力廃止措置の事業体(113)
Ⅵ むすびにかえて(114)
第5章 環境団体訴訟における原告適格 ─福島事故後の原発訴訟における司法審査の役割の変容─
Ⅰ はじめに(117)
Ⅱ 福島事故以前の原発訴訟における司法判断(120)
(1) 伊方原発訴訟における実体審理(120)
(2) もんじゅ第二次訴訟控訴審および上告審(125)
(3) 志賀原発訴訟および浜岡原発訴訟─原発の耐震安全性確保(129)
Ⅲ 公益団体訴訟における客観的違法性131
(1) 原発訴訟の限界─相対的安全性と客観訴訟としての側面(131)
(2) 環境団体訴訟における公益性 ─オーフス条約と欧米における司法へのアクセス権(133)
(3) わが国の環境団体訴訟における原告適格 ─集団的利益に対する判例の立場および学説(139)
Ⅳ 団体に原告適格を認める意義および団体訴訟の判決効(143)
(1) 地域住民の利害の対立および関与の限界(143)
(2) 集団的利益を主張する団体訴訟における原告適格の拡大(145)
(3) 団体訴訟の判決効(148)
Ⅴ 福島事故後の原発訴訟における司法審査の役割の変容(149)
(1) 原発訴訟における司法審査の役割の変容─客観訴訟としての側面(149)
(2) 訴訟要件の克服─公益追求訴訟としての側面(152)
Ⅵ むすびにかえて(154)
第6章 英国ヒンクリーポイントC原発支援国家補助に対する欧州委員会承認 ─委員会決定およびEU一般裁判所決定[T-382/15]に示された比例性原則と市場の失敗─
Ⅰ はじめに(157)
Ⅱ ヒンクリーポイントC原子力発電所 ─原発新設計画をめぐる背景(160)
(1) イギリスの電力市場改革 ─20年ぶりの原発新設計画とEDF Energy社の支配(160)
(2) イギリス政府による国家補助 ─Brexitの影響(162)
Ⅲ 欧州委員会による修正支援策の承認 ─国家補助における比例性原則と市場の失敗(165)
(1) EUの国家補助ルール─EU運営条約107条とEU司法裁判所判決(165)
(2) 欧州委員会による修正支援策の承認(169)
Ⅳ オーストリア政府による提訴・ドイツ再生可能エネルギー発電業者等による提訴とEU一般裁判所決定(173)
(1) オーストリア政府による提訴およびドイツ再生可能エネルギー発電業者等による提訴(173)
(2) EU一般裁判所決定[Case T-382/15](176)
Ⅴ EUの原子力政策の方向性とイギリスにおける原子力発電の行方 (181)
(1) BrexitのEURATOM条約に与える影響─原子力は別扱い(181)
(2) 一つの加盟国の原発推進政策が他の加盟国のエネルギー政策に及ぼす影響を訴訟で争えるか(184)
(3) 原子力発電に対する国家補助─原発による気候変動対策は適合可能か(187)
Ⅵ むすびにかえて(189)
第三部 英領タックスヘイブンを利用した租税回避
第7章 なぜ英国王室属領にタックスヘイブンが多いのか
Ⅰ はじめに(193)
Ⅱ 多国籍企業による租税回避問題とタックスヘイブン(194)
(1) タックスヘイブンおよびオフショア金融センターの定義(194)
(2) 多国籍企業による租税回避問題(196)
Ⅲ Cadbury Schweppes事件[Case C-196/04](2006年9月12日)(196)
(1) イギリス国内裁判所とEU司法裁判所(197)
(2) EU司法裁判所による先決裁定(199)
Ⅳ ガーンジー島事件(最判2009年12月3日)(201)
(1) 租税および外国法人税の意義(202)
(2) ガーンジーの特異性─英国王室属領(204)
Ⅴ なぜ英国王室属領にタックスヘイブンが多いのか(206)
(1) 英国王室属領の特色(Bailiffによる支配)─マクゴネル事件[ECHR62](2000年2月8日)(206)
(2)今後の方策─OECDおよび英米の対策(209)
Ⅵ むすびにかえて(210)
第8章 英領バミューダLPS訴訟における法人該当性 ─デラウェア州LPS訴訟との比較において─
Ⅰ はじめに(213)
Ⅱ 英領バミューダLPS訴訟における法人該当性(214)
(1) LPSとハイブリッド・ミスマッチ取決め(214)
(2) バミューダLPSの法人該当性─東京地裁判決および東京高裁判決(216)
Ⅲ デラウェア州LPS訴訟における法人該当性(219)
(1) デラウェア州LPS訴訟の概要(219)
(2) デラウェア州LPSの法人該当性(220)
Ⅳ 外国事業体のわが国租税法における法人該当性(226)
(1) 外国事業体のわが国租税法における法人該当性の判断基準(226)
(2) 外国法に基づく事業体についての形式判断および実質判断(227)
(3) 租税法における準拠法(228)
(4) 当事者の選択と国内租税法(229)
Ⅴ 英領バミューダLPS訴訟およびデラウェア州LPS訴訟の比較(230)
(1) 外国法人の定義の曖昧さ(230)
(2) アウトバウンド取引であるバミューダLPS訴訟およびデラウェア州LPS訴訟(231)
(1) 両判決の比較および今後への影響(231)
Ⅵ むすびにかえて(234)
第9章 英国王室属領の特殊性とEU法およびBEPSの影響 ─オフショア・タックスヘイブンとして利用されるガーンジーの分析を通して─
Ⅰ はじめに(235)
Ⅱ チャンネル諸島がタックスヘイブンとなった背景 ─ガーンジーの歴史(237)
(1) 混合法体系であるところのガーンジー法(237)
(2) 王立裁判所に独立性があるといえるのか─マクゴネル事件(239)
(3) Bailiffによる支配とイギリス本国との結びつき ─EUおよびOECDとの関係(242)
Ⅲ イギリス法の影響とガーンジー所得税法(245)
(1) イギリス法の影響(245)
(2) ガーンジー所得税法(251)
Ⅳ オフショア・タックスヘイブンとなる要因の分析(253)
(1) Residence(居住者)およびDomicile(永住者)(253)
(2) Jurisdiction(管轄)─国外所得免除方式と帰属所得主義(255)
(3) 法人のコーポレート・ガバナンス─租税と社会的責任を免れる法人(257)
Ⅴ EU法およびBEPSの影響 ─産業としてのオフショア・タックスヘイブンに対する歯止めは可能か(259)
(1) EU二次法の影響(259)
(2) 情報的手法の国際化(261)
(3) BEPSプロジェクトの効果 ─ハイブリッド・ミスマッチをどう防ぐか(264)
Ⅵ むすびにかえて (266)
事項索引 (269)
はしがき
第一部 英国司法審査とEU法
第1章 EU基本条約50条に基づく離脱通知に対する国会承認の必要性 ─高等法院2016年11月3日判決に示された英国憲法上の国会主権および国王大権─
Ⅰ はじめに(3)
Ⅱ EU基本条約50条に基づく離脱通知に関する訴訟における
主要争点の背景(5)
(1) 国会主権と国王大権─国会か政府か(5)
(2) 加盟国法とEU法の関係─EU法の国内効力とEU司法裁判所(7)
(3) イギリス国民としての地位に基づく司法審査請求─原告適格(10)
Ⅲ 高等法院判決 [2016] EWHC2768 (Admin)─R (Miller) v Secretary of State for Exiting the European Union─ (13)
(1) EU基本条約50条─EUから離脱する権利の行使(13)
(2) 条約の制定・改廃に関する国王大権の行使の範囲(14)
(3) 高等法院判決の結論─1972年欧州共同体法の解釈(17)
Ⅳ 高等法院判決が問いかける法律問題(19)
(1) 国内法および国際法の平面における国会主権と国王大権(19)
(2) EUと加盟国間の権限配分バランス(21)
Ⅴ むすびにかえて(24)
第2章 英国司法審査における環境公益訴訟 ─EU法のヒエラルキーと協力関係の中でのイギリス法─
Ⅰ はじめに(27)
Ⅱ オーフス条約と国内法(28)
(1) オーフス条約─司法へのアクセス権(28)
(2) ドイツおよびフランスにおける団体原告適格(29)
(3) イギリスにおける原告適格と司法へのアクセス権(32)
Ⅲ イギリス法における司法審査請求の拡充とEU司法裁判所(35)
(1) 司法審査請求─市民訴訟をどこまで認めるか(35)
(2) 公益訴訟における原告適格の拡大と限界(38)
(3) 国内裁判所とEU司法裁判所間の役割分担および緊張関係(42)
Ⅳ 環境公益訴訟の実質化(45)
(1) EU大気質指令の国内法化をめぐるイギリス最高裁判決およびEU司法裁判所先決裁定(45)
(2) 司法へのアクセス権─日本への示唆を含めて(50)
(3) 「国会主権原則」と「法の支配」とのジレンマ(52)
(4) EU法における環境公益訴訟─環境と経済の持続可能な発展(53)
Ⅴ むすびにかえて(55)
第3章 EU大気質指令の国内法化をめぐるEU法とイギリス国内法の関係 ─イギリス最高裁における司法積極主義への転換─
Ⅰ はじめに(57)
Ⅱ EU法とイギリス国内法の関係(59)
(1) EU司法裁判所と国内裁判所の関係─先決裁定(59)
(2) EU法の優越性および直接効果の原則 ─国内裁判所とEU司法裁判所間の緊張関係(60)
(3) 国会主権原則と法の支配─EU法による変容(63)
(4) 欧州人権条約と不一致宣言(65)
(5) EU指令に対する直接適用可能性(66)
Ⅲ EU大気質指令の国内法化をめぐる高等法院判決(2011年12月13日)および控訴院判決(2012年5月30日)の検討 ─The QUEEN on the application of ClientEarth v The Secretary of State for the Environment, Food and Rural Affairs─(68)
(1) EU法とイギリス国内法の解釈アプローチ ─目的論的解釈と文理解釈(68)
(2) 2008年EU大気質指令(Directive 2008/50/EC)の国内法化(69)
(3) 2008年指令における「大気質計画」(70)
(4) 高等法院判決(2011年12月13日)─宣言的判決および職務執行命令を求める司法審査請求(71)
(5) 控訴院判決(2012年5月30日)─文理解釈と司法消極主義(73)
Ⅳ イギリス最高裁判決(2013年5月1日)の検討 ─R (on the application of ClientEarth) v The Secretary of State for the Environment, Food and Rural Affairs─(75)
(1) 最高裁判決(2013年5月1日)─予備的結論と先決裁定の付託(75)
(2) 国内裁判所において可能な救済方法(77)
(3) EU司法裁判所への付託(78)
Ⅴ EU司法裁判所先決裁定(2014年11月19日)および差戻後のイギリス最高裁判決(2015年4月29日)─ClientEarth v The Secretary of State for the Environment, Food and Rural Affairs─(79)
(1) EU司法裁判所優先処理手続(2013年11月28日)(79)
(2) EU司法裁判所先決裁定[Case C-404/13](2014年11月19日)(80)
(3) イギリス最高裁差戻後判決における職務執行命令(2015年4月29日)(83)
(4) 国内裁判所およびEU司法裁判所の役割 ─EU法の枠内での司法積極主義と政策的選択(85)
Ⅵ むすびにかえて(87)
第二部 英国、EUおよびわが国における原子力発電
第4章 電力システム改革と原子力廃止措置の事業体 ─英国NDA (原子力廃止措置機関) と日本の電気事業者─
Ⅰ はじめに(91)
Ⅱ 電力システム改革─発送電分離に関する議論(93)
(1) 2005年までの部分自由化の限界(93)
(2) 福島事故後の議論(95)
(3) 発送電分離(アンバンドリング)の法的問題(97)
Ⅲ 原子力廃止措置の問題点(99)
(1) 原子力発電の事業リスク(99)
(2) 核燃料サイクルの破綻(101)
(3) 高レベル放射性廃棄物─地層処分の難しさ(105)
Ⅳ 英国の原子力政策とNDA(原子力廃止措置機関)(107)
(1) 原子力政策とNDA(107)
(2) 原子力廃止措置の事業体(109)
Ⅴ 発送電分離と原子力廃止措置(111)
(1) 原子力フェイズ・アウトの後始末(111)
(2) わが国における原子力廃止措置の事業体(113)
Ⅵ むすびにかえて(114)
第5章 環境団体訴訟における原告適格 ─福島事故後の原発訴訟における司法審査の役割の変容─
Ⅰ はじめに(117)
Ⅱ 福島事故以前の原発訴訟における司法判断(120)
(1) 伊方原発訴訟における実体審理(120)
(2) もんじゅ第二次訴訟控訴審および上告審(125)
(3) 志賀原発訴訟および浜岡原発訴訟─原発の耐震安全性確保(129)
Ⅲ 公益団体訴訟における客観的違法性131
(1) 原発訴訟の限界─相対的安全性と客観訴訟としての側面(131)
(2) 環境団体訴訟における公益性 ─オーフス条約と欧米における司法へのアクセス権(133)
(3) わが国の環境団体訴訟における原告適格 ─集団的利益に対する判例の立場および学説(139)
Ⅳ 団体に原告適格を認める意義および団体訴訟の判決効(143)
(1) 地域住民の利害の対立および関与の限界(143)
(2) 集団的利益を主張する団体訴訟における原告適格の拡大(145)
(3) 団体訴訟の判決効(148)
Ⅴ 福島事故後の原発訴訟における司法審査の役割の変容(149)
(1) 原発訴訟における司法審査の役割の変容─客観訴訟としての側面(149)
(2) 訴訟要件の克服─公益追求訴訟としての側面(152)
Ⅵ むすびにかえて(154)
第6章 英国ヒンクリーポイントC原発支援国家補助に対する欧州委員会承認 ─委員会決定およびEU一般裁判所決定[T-382/15]に示された比例性原則と市場の失敗─
Ⅰ はじめに(157)
Ⅱ ヒンクリーポイントC原子力発電所 ─原発新設計画をめぐる背景(160)
(1) イギリスの電力市場改革 ─20年ぶりの原発新設計画とEDF Energy社の支配(160)
(2) イギリス政府による国家補助 ─Brexitの影響(162)
Ⅲ 欧州委員会による修正支援策の承認 ─国家補助における比例性原則と市場の失敗(165)
(1) EUの国家補助ルール─EU運営条約107条とEU司法裁判所判決(165)
(2) 欧州委員会による修正支援策の承認(169)
Ⅳ オーストリア政府による提訴・ドイツ再生可能エネルギー発電業者等による提訴とEU一般裁判所決定(173)
(1) オーストリア政府による提訴およびドイツ再生可能エネルギー発電業者等による提訴(173)
(2) EU一般裁判所決定[Case T-382/15](176)
Ⅴ EUの原子力政策の方向性とイギリスにおける原子力発電の行方 (181)
(1) BrexitのEURATOM条約に与える影響─原子力は別扱い(181)
(2) 一つの加盟国の原発推進政策が他の加盟国のエネルギー政策に及ぼす影響を訴訟で争えるか(184)
(3) 原子力発電に対する国家補助─原発による気候変動対策は適合可能か(187)
Ⅵ むすびにかえて(189)
第三部 英領タックスヘイブンを利用した租税回避
第7章 なぜ英国王室属領にタックスヘイブンが多いのか
Ⅰ はじめに(193)
Ⅱ 多国籍企業による租税回避問題とタックスヘイブン(194)
(1) タックスヘイブンおよびオフショア金融センターの定義(194)
(2) 多国籍企業による租税回避問題(196)
Ⅲ Cadbury Schweppes事件[Case C-196/04](2006年9月12日)(196)
(1) イギリス国内裁判所とEU司法裁判所(197)
(2) EU司法裁判所による先決裁定(199)
Ⅳ ガーンジー島事件(最判2009年12月3日)(201)
(1) 租税および外国法人税の意義(202)
(2) ガーンジーの特異性─英国王室属領(204)
Ⅴ なぜ英国王室属領にタックスヘイブンが多いのか(206)
(1) 英国王室属領の特色(Bailiffによる支配)─マクゴネル事件[ECHR62](2000年2月8日)(206)
(2)今後の方策─OECDおよび英米の対策(209)
Ⅵ むすびにかえて(210)
第8章 英領バミューダLPS訴訟における法人該当性 ─デラウェア州LPS訴訟との比較において─
Ⅰ はじめに(213)
Ⅱ 英領バミューダLPS訴訟における法人該当性(214)
(1) LPSとハイブリッド・ミスマッチ取決め(214)
(2) バミューダLPSの法人該当性─東京地裁判決および東京高裁判決(216)
Ⅲ デラウェア州LPS訴訟における法人該当性(219)
(1) デラウェア州LPS訴訟の概要(219)
(2) デラウェア州LPSの法人該当性(220)
Ⅳ 外国事業体のわが国租税法における法人該当性(226)
(1) 外国事業体のわが国租税法における法人該当性の判断基準(226)
(2) 外国法に基づく事業体についての形式判断および実質判断(227)
(3) 租税法における準拠法(228)
(4) 当事者の選択と国内租税法(229)
Ⅴ 英領バミューダLPS訴訟およびデラウェア州LPS訴訟の比較(230)
(1) 外国法人の定義の曖昧さ(230)
(2) アウトバウンド取引であるバミューダLPS訴訟およびデラウェア州LPS訴訟(231)
(1) 両判決の比較および今後への影響(231)
Ⅵ むすびにかえて(234)
第9章 英国王室属領の特殊性とEU法およびBEPSの影響 ─オフショア・タックスヘイブンとして利用されるガーンジーの分析を通して─
Ⅰ はじめに(235)
Ⅱ チャンネル諸島がタックスヘイブンとなった背景 ─ガーンジーの歴史(237)
(1) 混合法体系であるところのガーンジー法(237)
(2) 王立裁判所に独立性があるといえるのか─マクゴネル事件(239)
(3) Bailiffによる支配とイギリス本国との結びつき ─EUおよびOECDとの関係(242)
Ⅲ イギリス法の影響とガーンジー所得税法(245)
(1) イギリス法の影響(245)
(2) ガーンジー所得税法(251)
Ⅳ オフショア・タックスヘイブンとなる要因の分析(253)
(1) Residence(居住者)およびDomicile(永住者)(253)
(2) Jurisdiction(管轄)─国外所得免除方式と帰属所得主義(255)
(3) 法人のコーポレート・ガバナンス─租税と社会的責任を免れる法人(257)
Ⅴ EU法およびBEPSの影響 ─産業としてのオフショア・タックスヘイブンに対する歯止めは可能か(259)
(1) EU二次法の影響(259)
(2) 情報的手法の国際化(261)
(3) BEPSプロジェクトの効果 ─ハイブリッド・ミスマッチをどう防ぐか(264)
Ⅵ むすびにかえて (266)
事項索引 (269)